昨日のアメリカ雇用統計は、非農業部門の就業者が前月比28.7万人増加し、市場予測の18万人を大幅に上回ったことから、NYダウは250ドルを超える大幅上昇となりました。アメリカの利上げ期待から、為替が円安へ進むのかと思いましたが、1ドル101円をつけた後は円高にまた逆戻りし100円50銭付近に収まりました。オプション逆張り戦略が完全に決まり、利益を上げることができました。
さて、来週の日経平均とオプション戦略を考える前に、相場の乱高下を招いている為替市場、とりわけ「為替介入」について冷静に簡単におさらいしておきたいと思います。実は市場関係者の方も知ったかぶりで誤解していることも多いです。
- 為替介入の主体は、財務省(財務大臣)であること。
- 円安への為替介入は、借金(政府短期証券)によって賄われること。日銀は貸し手。政府が借り手。
- 為替介入は、後に財務省のホームページで公表されること。
- 為替介入は、為替政策におけるの短期的な手段であり、長期的な政策手段は日銀の通貨発行量調整などを主体とする金融政策に委ねられていること。
1.~3.については、日本銀行のホームページが非常によくまとまっていますので、下のリンクを参照としてください。(https://www.boj.or.jp/intl_finance/outline/expkainyu.htm/)
4.についてですが、為替介入の際に、日銀は政府短期証券を購入して資金を供給する(ほぼお =お金を刷る)のと同時に通貨供給量(マネタリーベース)が増えてしまった分を同じだけ国内市場から不胎化介入(マネタリーベースを減らす)をして吸収してしまうことがあります。
通貨の価値は長期的には通貨供給量によって決まることを前提にしますと、財務大臣がいくら為替介入を行っても、その後の通貨供給量の差配(金融政策)を日本銀行が自主的に行っているのですから、論理的な帰結として、現在の制度では為替介入は短期的な効果しかもたらさないということになります。
為替相場の安定には財務大臣と日銀の政策協調がどうしても必要なのです。為替相場を判断する際は、為替介入とその後の通貨供給量との間に整合性が取れているのかどうかをしっかりと見極める事が重要です。